第36回熱刀句乱舞

昨日は「蛮の会」の句会である「熱刀句乱舞」に参加してきた。3月以来だから、3ヶ月ぶりか。さて、先週現俳協の句会で散々な目にあった分を取り戻せるかどうか。
まずは、投句と頂いた点数の結果から。

初防衛の3カウント虹立ちぬ  2点
相対性理論玉砕昼寝する  0点
罪深き冷し中華のマヨネーズ  6点
守るべき人傍らに遠花火  4点

初防衛の句、虹からジャーマンスープレックスを連想してもらいたかったのだが、さすがに無理があった様子。プロレスを俳句にするとどうしてもマニアックな知識が必要になってしまうので、そこをいかに回避するかが難しい。「プロレス俳句」への道は険しい。
相対性理論の句、1、2点程度は入るかと思ったのだが、空振り。むう。
冷し中華の句、狙いどおりにマヨネーズの功罪を問う議論になって、ひそかに満足。これこそまさにマヨネーズの罪深さ(笑)。ただ、「物を詠んだだけで動きがない」という指摘もあって、それはたしかにそのとおりかもしれない。実はこの句には原型があって、

発端は冷し中華のマヨネーズ

というものであった。どちらにしようかと悩んだのだが、原型だと散文めいてしまうように思ったので直した次第。さて、どっちがよかったのやら。
遠花火の句、点数的には低いのだが、代表の特選を頂けたのは今回最大の収穫。「守る」という兼題からするりと出来た句だったので、悪くない結果が得られたのは気持ちがいい。ただ、これにも「『傍ら』という近景と『遠花火』という遠景が連続するのはよろしくないのでは」という指摘をもらい、なるほどと思った次第。それに従うと

傍らに守るべき人遠花火

となるのだが……ううむ、どうだろう。私としては「傍らに」を強調したいところなのだが、これだと「人」が強調されてしまう気がする。俳句としての形はこの方がいいんだろうけど、心情的には承服しがたいところがある。
と、以上が投句の結果である。


投句の結果も大事だが、選句も大事。今回の選句は……そんなにおかしな句は採っていないとは思うのだが、あいかわらず少数派の意見であった。まだ選句眼が弱いのか、あるいは私のセンスが人とズレているのか。まあ、常に多数派に属さねばならないという法もないのだが、いずれにせよ少々不安ではある。もっとたくさんの句を読んで勉強せねばなるまい。


最後に、今回の句会で披露された、最も驚くべき作品を紹介しておこう。

事後述べた反省船場食べ残し  田中耕司

言うまでもなく、世間を騒がせた船場吉兆を詠んだ句。これだけでも句として充分成立しているのだが、恐るべきことにこれは回文になっているのである。

じごのべたはんせいせんばたべのこし (濁点ははずして読む)

正直、披講の場でタネ明かしされるまで全く気がつかなかった。それだけ完璧に意味の通る回文なのである。いやもう驚いたのなんの。こういうものすごいことができる人がいるのだから、全くもって俳句は奥が深い。