ぺんぺん草

さすがに半年近く放置していると、つまらんスパムコメントがついたりするものだ。
その都度見つけては消しているけれど、正直めんどくさい。
そういえば、さっき読んだ漫画に「『達成感』と『めんどくささ』はもれなくセットになっている」というセリフがあった。けだし、名言である。そのめんどくささを乗り越えられるかどうかで、いろいろ違ってくるものなのだろう。
立秋も過ぎたことだし、出しそびれた夏の句をひそかに公開してみよう。


ひとつずつ鍵盤たたく夏の夜
モノクロの写真のごとく灼かれをり
もういいと笑ふ他なき酷暑かな
古本のやうな梅酒を眺めをり
夏の夜の生け贄となり赤子泣く
冷房の止まりし部屋で残業す
まつすぐに布を裁ちたる涼しさよ
評判の冷し中華に首傾げ
片蔭に定員のあり立ち入らず
炎帝は制御不能となり給ふ
生を乞ふ赤子のやうに夕焼空
白扇や目が笑わない課長補佐

久々の目白句会

今日は「豆の木」の目白句会に行ってきた。
たしか、1月2月と参加していなかったはずだから……ええと、とにかくかなり久しぶりである。
例によって、いつもどおり席題8つを3ラウンド、どうにかこなしてきた。
今回は2ラウンド目でひとつ高得点句が出たものの、その他は投句・選句ともに低調。疲労のせいか、3ラウンド目の失速ぶりは無残なものだった。


実際のところ、今年に入ってから作句の数は明らかに激減している。唯一定常的に参加しているmixiの「俳句まみれ」でさえ、しばしばお休みする始末。1週間で5句作ればいいのに、それさえ満足に出来ていないのだ。これじゃ俳句がうまくなるわけがない。ただでさえ未熟な腕が鈍る一方である。
というわけで、もうひとつくらい定常的に参加できる句会があった方がよさそうに思えてきた。できればネット句会で(弱っ)。いやまあ、もちろん会場に足を運ぶ句会の方がより鍛えられるのだろうけど、物理的精神的諸事情もあるので(単に虚弱&腰が重いだけ)、多少なりと気軽に参加できる方がいいかな、と。
どこかお薦めのネット句会があったら、教えて頂けまいか。>読者各位


つーて、誰か読んでるのか、こんなとこ。

打たれ弱い。

また3ヶ月放置。まあ、今さら弁解する気もないが。


さて、前回の記事で

というわけで、ここまで書きながら私は覚悟を決めた。1周年を機に、私は駄句製造機になることにしよう。とにかく句を作って、叩かれて、強くなろう。そうすれば、いつか必ずガラスの壁を越える力がつくに違いない。そう信じて。

と、かっこよさげな決意表明をしたわけであるが。
実際に叩かれてみると、精神的ダメージがけっこうでかいことが判明。
毎日仕事で涙出そうなくらい凹まされている昨今、俳句でまで凹まされてしまっては生きていける自信がない。
そういうわけで、現在mixiの日記でも俳句を公開することをやめている。
公開していたわずかな時間でも得るものはあったのだが、衆人環視の下できついダメ出しを食らうのは、けっこうつらいものがあった。ああいう批評はもっとプライベートな時間にやってもらうべきなのかもしれない。
とはいえ、わずかな時間でちまちま書きためている句を誰の目にも晒すことなく腐らせていくのも、少々もったいない。ので、どうにか再開できるように思案中である。


話は変わって。
PCでの日本語入力にはATOKを使っているのだが、先日ATOKプラグインとして「角川俳句歳時記 第4版」なるものを追加してみた。
実際どれほどの効果があるのか、買った時には少し不安もあったのだが、これがすこぶる便利。例えば春の季語であれば「霾(つちふる)」が一発で変換できてしまう。去年の春にこの一文字を入力するために散々苦労したことを思えば、これだけでも素晴らしく優秀である。他にも「鞦韆」「半仙戯」「西行忌」といった、日常滅多にお目にかからない季語までさくっと変換してくれる。実にすばらしい。ATOKには文語モードがあるので、それと併用すればいわゆる「旧かな」の句が何の違和感もなくすらすらと書けてしまう。実にありがたい。
というわけで、ATOK使いの俳句作者各位には激しくお勧めしたいプラグインである。


さて、今月末は「豆の木」の原稿の〆切日。10句作って文章書いてと、けっこう忙しい。平日は(仕事で消耗するので)頭が使い物にならないから、休日のうちにどうにかまとめなければ。

あれから1年たちました

3ヶ月放置。まあ、それはともかく。
俳句に手を染めてから、1年たった。
さすがにずぶの素人の時に比べればいくらか上達はしたと自分では思っているが、それも1年分の上達でしかない。当たり前だけど。
しかし、ここに来て、だんだん壁のようなものが見えてきた気がする。それはいわばガラスの壁であって、向こう側を見ることはできるのだけど、向こう側に行くことができない、そういう壁である。
1年勉強してもなお、未だに私の句は「説明的」「当たり前」と評されることが多い。この二つは俳句においてはいわば禁忌であって、それをやりたきゃ散文に行きなされというダメ出しである。
どんな句が説明的でなくて当たり前でなくて、いわゆる「いい句」であるかというポイントは、自分なりに理解し始めているとは思う。だが、哀しいかな、自分の作句力がそこに届かない。ポンとひねった句はいつまでたっても説明的で当たり前だったりする。それが自分でわかってしまう辺りが、一層哀しい。
ガラスの壁の向こうにある俳句の領域は見えているし、理解できる。なのに、自分はその壁を越えることができない。実に、実にもどかしい。


ここはひとつ、「駄句製造機」になることを覚悟せねばならないのだろうか。とにもかくにも作句をして人に見てもらうことで、崖から突き落とされながら壁を越える力を身につけていくしかないのだろうか。
ぶっちゃけた話、自分の句にダメ出しされるのはつらいし、恥ずかしい。できることなら、こっそりと練習をして、いきなりうまくなった姿を見てもらいたいと思う。だが、そう簡単にはいかないらしい。


というわけで、ここまで書きながら私は覚悟を決めた。1周年を機に、私は駄句製造機になることにしよう。とにかく句を作って、叩かれて、強くなろう。そうすれば、いつか必ずガラスの壁を越える力がつくに違いない。そう信じて。
あー、でも、ここで句を出すことはしません。mixiの日記の方でやることにします。mixiのアカウントをお持ちで、かつ下らない句を読んでぶっ叩いてみたいと思う酔狂な方がいらしたら、こちらからご覧下さい。
では、どうぞよろしく。

季語は厳粛であるべきです

発信箱:夏と秋の原爆忌=広岩近広

夏と秋に、それぞれ「原爆忌」という季語があるという話題。もちろん、前者が広島で後者が長崎なのは言うまでもないのだが、たしかにややこしいのも事実。ちなみに、手元にある角川の文庫版「俳句歳時記 第4版」では、夏と秋にそれぞれ「原爆忌」が載っている。
原爆というと季感として夏の印象があるという指摘は一理あるので、記事で宮坂静生氏が言うように「広島忌」「長崎忌」と言い分けた方がいいのかもしれない。
記事ではいっそのこと「原爆忌」を夏の季語として統一してはどうかという提案がなされているが、宮坂氏はきっぱり結論づけた。
「季語は厳粛であるべきです」
うん、それが俳人ってもんだよな(笑)
ただ、俳句をやっている者の端くれとしてこういうことを言うのも何だが、立秋を境に夏と秋を分けるというのは理屈ではわかるものの体感的にはちとつらい。今年の立秋はことのほか見事な夏空が広がって、さてどこに秋を見い出せばいいのやらとかなり悩んでしまった。
しょうがないので、たまたま出勤中に出くわしてしまった場面でこんな句をひねってみたり。

横たわる猫の骸や今朝の秋  独楽

……びみょー。
ただ、今日などは8月らしからぬ涼しい一日で、なるほど「秋来る」という風情ではあった。つくつく法師が鳴くのも初めて聞いたし、季節は確実に進行しているらしい。

誰が魂のつくつく法師鳴き始む  独楽

なお、ブタクサの花粉症持ちである相方の鼻にも一足早く秋が来たらしく、アレルギー止めの点鼻薬を苦しそうに打っていた。こういう季節感は気の毒なものである。

目白句会

先週の土曜日、「豆の木」の目白句会に参加してみた。
木曜句会と何が違うかというと、木曜句会が兼題であるのに対して、目白句会は全部席題なのだ。8つの席題で30分即吟、しかもこれを3ラウンド行なう。もはや句会というか、俳句のサーキットトレーニングである。
以下、出句を並べてみるのだが……こういう状態だったので、(一部持ち句、既出句を含むが)まともにできた句はほとんどない。点数など、言わずもがなである。いずれも今後推敲すべきものなので、出来云々は問わないで頂きたい。


第1ラウンド:「うちわ」「炎」「百合」「月」「箱庭」「つかむ」「金魚」

家中で団扇を探す風呂上がり  独楽
炎昼や廃品回収迫る声  独楽
ソーダ水頼みし後の番茶かな  独楽
父の忌に百合を飾りし客間かな  独楽
真夜中の夏満月は熱を帯び  独楽
箱庭にウルトラマンが立ちにけり  独楽
栄光を掴まんとして汗をかく  独楽
取り急ぎ金魚に見せる万馬券  独楽


第2ラウンド:「ビール」「鉄」「袋」「麻」「水」「穴」「熱帯夜」「華」

それではと掲ぐビールのぬるさかな  独楽
夏休み俄か鉄子のかしましき   独楽
袋とじ破られてをり木下闇   独楽
冷房の効かぬ歯医者の麻酔かな  独楽
ケータイの電源を切る氷水  独楽
風穴の開かぬ会議や油照  独楽
右を向き左に戻る熱帯夜  独楽
発端は冷し中華のマヨネーズ  独楽


第3ラウンド:「ポー」「少」「肉」「門」「草」「からだ」「遺産」「胃酸」

鰻屋のポーカーフェイス匂ひたつ  独楽
プールへと少年たちの二次曲線  独楽
贅肉を隠す水着に挑みたり  独楽
閉門を告げるチャイムや夜の秋  独楽
主無き更地の草に夏の蝶  独楽
身体ごと入れてしまひたき冷蔵庫  独楽
夏の果社長の胃酸過多止まず  独楽
負の遺産残して終る祭かな  独楽


以上。うーん……恥ずかしい(汗)。
まあ、今回はどうにか最後まで食らいついていけたことを収穫としよう。
もっと回を重ねれば俳句的足腰も強くなっていくと思われるので、次回以降も参加できるようにしたい。
それまでに、もっと勉強しておかねば……。

木曜句会再び

「豆の木」の木曜句会に、また参加してみた。
前回は身構え過ぎて緊張しまくって無我夢中のうちに終わってしまったのだが、今回は2回目ということでずいぶんリラックスして臨むことができた。何より、句会として楽しむことができたので、とりあえずは満足である。
今回のお題は「シャツ」「階段」「傘」「ストロー」「袖」「冷酒」「上」。出句と点数は以下のとおり。

ぽつりぽつりと身の上話蛍の夜  0点
冷酒をあおりようやく笑ひけり  0点
立ち止まりやがて別れる日傘かな  1点
ストローを曲げて向日葵咲きにけり  1点
階段を転がり落ちるパナマ帽  1点
颯爽と開襟シャツのプロレスラー  0点
甚平の袖が短ひ夏休み  1点
夏の蝶北に向かひし上野駅  2点
階段の隅に飾りし水中花  2点

点数的には、ちと寂しい結果であった。もっとも、最高点数が4点と票が割れた状態だったので、それを考えればどうにか健闘した部類か。
総じて指摘されたのは「言い過ぎ」「一言多い」という点。「立ち止まらなくてもいい」「ストローは曲げなくても」「転がり『落ちる』は言い過ぎ」「甚平と夏休みは季重なり(爆)」「北に向かうか上野駅かのどちらかで」……あうあうあう。
どうも、イメージを盛り込み過ぎるというか、ダメを押しすぎてしまう傾向があるらしい。もうちょっと焦点を絞って、すっきり詠んだ方がいいのかもしれない。またひとつ自分の弱点が明らかになったようだ。
木曜句会は、皆さんが忌憚のない意見を述べてくれるので、とても勉強になる。時間は短いが、得る物は多い。これからも積極的に参加していきたいと思う。