春を惜しむ

かれこれ約2ヶ月ぶりの更新だ。
3月、4月と仕事があまりにも忙しく、とても俳句にまで頭が回らなかった。
仕事も一段落し、連休に入ったこともあって、ようやっと気持ちに余裕が出てきたので、久しぶりにこちらに記事を書いている次第。


気がつけば明日はもう立夏である。夏の歳時記に持ち替えねばならない。
4月は「蛮」の吟行にも現俳協の句会にも出られなかったので、春の句を人前で披露する機会が全くなかった。
(欠席投句という手もあったのだが、推敲する余裕もなく断念した経緯がある)
というわけで、行く春を惜しみつつ、ひそかに書きためていた春の句をここで大放出してしまおうと思う。
あいかわらずのお目汚しだが、ご容赦頂きたい。


きさらぎの安定剤が零れ落つ
濁る目で受け入れてゐる目刺かな
梅が枝に紆余曲折のありにけり
嫌われてなほ恋猫の空回り
人知れず春の滴がまたひとつ
暖かし太陽系の片隅で
春昼や子らが見せ合ふ玉子焼
口元に平和垂らして朝寝かな
萌え出づる春に取り残されてゐる
抱く妻が桜哀しと噎ぶ夜
万愚節だから許してほしい嘘
鼻毛切り白髪混じりて長閑なり
通ひ路や今日はかはづが死せる夜
躑躅より淋しき通勤電車かな
終電の去りしホームや暮の春